編集室より

当サイトでご紹介した2016年7月3日、第5回 愛知子どもと本と文化を考える会 講演会レポートの冒頭に掲載している写真の絵は「わっしょいわっしょいのおどり」(第1回平和展出品・へいわのおどり)と題するかこさとし1952年の作品です。(絵本ナビインタビュー第1回にもこの絵が紹介されています)

かこさとし自身はこの絵について次のように解説しています。

「いわゆる童画は、動物風景などが多く、人を描いてもかわいい類型であるのにあきたらず、泣き 怒り、動き 笑い 働き 考える 多様なひとの共生共苦共楽を示そうとしたもの。この絵の黒白絵ハガキを、みられた福音館書店の松居さんが絵本をかく機会をくださった僥倖の画」

掛図式の絵話や紙芝居、幻灯に描いたものもこの絵と同じようなタッチで描かれていました。そして1973年に絵本「わっしょい わっしょい ぶんぶんぶん」(偕成社)が刊行されました。あとがきを引用します。

(引用はじめ)

この「わっしょい わっしょい ぶんぶんぶん」のおはなしは、おおげさにいうと、わたしにとって記念碑的な作品のひとつです。

それは、子ども会活動をはじめた二十数年前の、もっとも初期にうまれたものであると同時に、いつしか多くの子どもたちと、そのまわりの人々に愛されるものとなり、最初の掛図式の絵話は、各所で使われ演じられたので、ぼろぼろになり裏打ちされた後もいつのまにかなくなってしまいました。

その再版ばかりではなく、わたしは請われるままに、紙芝居や幻灯、パンフレットなどにこの「わっしょい」のおはなしを、いくたびか作りかえ描きなおしてきました。

こんどのこの「おはなしのほん」の一冊とするために、七度めの筆をとりながら、かつて子どもたちが批評示唆してくれた点を、すべて作品の中にいかし、集中するよう努力してみました。
わたしの娘協力を得て数えてみましたら、この作中には人物が1、094人、動物が465匹、物や道具が294個、描かれている結果となりましたが、そのひとつひとつの顔に、わたしはこの作品を喜んで見てくれた子どもたちを思い出しながら、そしてまた、新しくこの本を見てくださる方々顔を考えて描きつづけたことをつけくわえて、あとがきといたします。
(引用おわり)

「わっしょいわっしょい ぶんぶんぶん」の幻灯が、2016年8月7日(日) 東京・池袋で上映されます。詳しくは以下をご覧ください。

28年幻灯映画チラシ