編集室より

一年中 生のトマトやキュウリが食べられ、冬であっても室内で水泳ができる暮らしの中で風物詩と呼べるような事柄は随分減ってしまいましたが、自然の恵みを想う時、四季のある日本では気候の変化やそれに伴う先人たちの工夫を感じ取ることは心身にとって大切なように思われます。

感傷的な懐かしさではなく、ほんの少し前まで先人たちが苦労してきた様々なことがらと関係していることも多々あります。そのような視点から、旧来のおまつりやしきたりに込められた願いをご紹介する絵本が『こどもの行事 しぜんと生活』です。その1月のまきのあとがきをご紹介します。

1月あとがき

むかしのひとの力や知恵や心のあつまり

(引用はじめ)むかしのひとの力や知恵や心のあつまり
1月は行事が特におおい月です。日本にすんでいた昔の人たちにとって、1月は1年間の農耕のはじまりの時で、田畑をまもってくださる歳神さまを迎えたり、そなえものをするなどの大事な行事があるので「正月」といったことを、はじめに述べました。

このように、日本の行事やならわしのうち、この本では、その理由と行事にこめられた人々の思いやかんがえもあきらかにして、次の時代に伝えるようにえらびました。むかしの人たちが持っていた力や知恵や心を総動員して、生活をささえようとしたことを、この1月の巻でしっていただきたいとおもいます。
(引用おわり)
なお、本文は縦書きで漢字には全てふりがながあります。

日本の行事には、古くから伝えられたもののほか、中国など海外から伝えられたものもあるため、いつ頃に伝えられたのかを示す年表が各巻末にあり、大人にとっても参考になります。また、1月の巻では「世界の国ぐにの新年の行事やあそび」も紹介しています。