2022
獅子舞を見ることはめっきり少なくなりましたが、思い浮かぶのは上の絵(『こどものカレンダー1月のまき・偕成社)のような赤い頭に緑の胴体で、元気に動き回って曲芸をしたり、見ている人の頭をかんで邪気を払ってくれると言われています。そもそも獅子とは一体何のことなのでしょうか。
英語ではライオンダンスといいますが、ライオンというとアフリカのライオンが想像され、中国ではアフリカのライオンが元になっている伝説上の動物だそうで、色合いなど日本の獅子とはイメージが異なります。
『こどもの行事 自然と生活 1月のまき』(2011年小峰書店)には日本の獅子舞について次のような説明があります。
(引用はじめ)
奈良時代より前に、中国からつたわった、豊作と健康を祈り、悪魔をおいはらうおどりです。いのしし、鹿、とら、りゅうなどの「しし頭」をつけておどります。
(引用おわり)
岩手の獅子踊りの頭にはシカの角があるのも納得です。かこは幼い頃、生まれ故郷の武生(たけふ)で見た伊勢大神楽の演じる獅子舞に感動したそうで、「振袖ししまい」として紹介しています。
『ならの大仏さま』(1985年福音館2006年復刊ドットコム)には、752年、大仏開眼法要の式典に続き披露された海外の芸能として伎楽の獅子舞の様子も描かれています。こうした長い歴史を経て様々な流れで獅子舞は現在にも伝わってきているのです。2022年が佳い年でありますように。
寅年といえば『だるまちゃんととらのこちゃん』。
だるまちゃんがとらのこちゃんと土絵具でペンキぬり遊びをしていたところ、これが思わぬ評判になって、街をカラフルにしたり、クルマも色鮮やかに変身。おまけに、とらのこちゃんのお父さんから本物のペンキをお土産にもらって、だるまちゃんはニコニコ大満足です。とらのこちゃんとシマシマ模様のだるまちゃんが大変印象に残る絵は「干支にちなんでトラの絵本」として絵本ナビでも紹介されています。
かこは寅年生まれで、12歳になるお正月に母親に次のように言われたと『過去六年間を顧みて』(2018年偕成社)にあります。
(引用はじめ)
「今年は寅年で哲(さとし)も兄ちゃんも当たり年だよ、当り年というとよいことがあればとびきりよいことがあって、悪いことがあれば大変わるいことがある。だから哲も兄ちゃんも一生懸命やってよいことがあるようにしなさい。」
(引用終わり)
今から84年前の新年の一コマです。この年、かこは中学校の入学試験に見事合格を果たし、入学にあたって父親が語った言葉を書き留め、小学校生活六年間の記録である、この画文集を次のように結んでいます。
(引用はじめ)
そうだ。今年は僕の当り年だ。化学博士という目的をめざし、友と約束したこと、父母の教えを胸にとめ勢よく進んでいこう。
(引用おわり)
かこのその後の人生は是非、伝記『かこさとし 遊びと絵本で子どもの未来を』(2021年あかね書房)をお読みください。
トラが主人公の作品には『とらのことらちゃん』という紙芝居(2003年全国障害児福祉財団)があり2021年刊行の『かこさとしと紙芝居ー創作の原点ー』(童心社)でも紹介しています。
寅年、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
絵本ナビ「干支にちなんでトラの絵本」の紹介は以下でどうぞ。
だるまちゃんととらのこちゃん
広報小山