編集室より

こぼれ話

11月になりました

11月を迎え来年のことが話題になる季節になりました。

ご覧いただいているのは「かこさとし おはなしのほんカレンダー」11月(ケイエス販売)です。このカレンダーは、偕成社から刊行されているおはなしのほんシリーズ20冊の中から季節や行事にちなんだ絵を月ごとのカレンダーにしたもので、今月の絵は「からすのてんぷらやさん」から、紅葉が色づく会場での賑やかなおめでたい場面です。

「からすのてんぷらやさん」(偕成社2013年)の表紙と裏表紙。

この絵本は「からすのパンやさん」の4わのこどものうち3番目に生まれたレモンちゃんが、大きくなって思いもかけない事件に遭遇し仲間とともに奮闘する物語です。

あとがきの一部をご紹介します。
(引用はじめ)

私は戦災や震災の時、レモンさんのような方がたに何人も接して、平時では得られぬ貴重な教えをいただいてきました。そして人間の社会は、ただ大勢いるのではなく、たがいに助けあい、補いあって、「社会」がなりたつことを知りました。

それが、このお話しをかこうとおもったきっかけです。
(引用おわり)
尚、本文は縦書きで漢字には全てふりがながふってありますが、ここでは省略しました。

上は、来年2017年のおはなしのほんカレンダーです。2018年1月までの13場面と20枚のメモリアルシールが付いています。

絵本とは違い文字がありませんので絵をじっくり楽しんでいただけます。お忙しい日々、ふと見るカレンダーの絵に和んでいただけたら何よりです。

かこさとしの複製原画をご覧になられたことがありますか。
実は古い原画は紙質も悪く、保存状態が良好だったとはいえず、随分いたんで額にいれて展示するの難しいものが多々あり「かわ」(1962年福音館書店)などはこの50年間展示したことはありませんでした。

最近は複製する技術が格段に進歩し国宝の絵画を複製にするような技術を使っての再現が可能となったことで額装してご覧いただけるようになりました。紙は特殊なものを使用するため触れば違いがわかる場合もありますが、元の紙質を写し取ることにより非常に正確に複製されますので、本の印刷では出せない原画の色鮮やかな画面を楽しんでいただけます。

複製原画をご覧いただける場所ですが、福井県福井市ふるさと文学館、福井県ゆかりの文学者のコーナーに2-3点が常設展示となっています。また、同県越前市かこさとし ふるさと絵本館石石(らく)の2階には常時40点以上の複製原画が展示されています。ここでは年に4回展示画の入れ替えをしていますが、毎回、加古作品の中から選んだ一冊の全ページ分の(作品の一部だけではなく)複製原画を見ることができます。

額装マットには、白ではなくやや薄い明るいベージュ系の色を使うことが多く、本ホームページ背景色もその色を基調としています。上述の越前市絵本館では下絵を展示することもあるのが特色ですが、下絵にはもっと茶色の濃い色合いのマットを使用し区別しています。

「からすのパンやさん(偕成社)裏表紙。本ホームページもこの色あいを基調にしています。

小さいお子さん向け、例えば「ことばべんきょう」には元気のでるレモンイエロー系、科学絵本の場合はより白に近い色やグレー系。「どろぼうがっこう」(偕成社)は真っ黒に金属的な額で牢屋のイメージ。

「ことばのべんきょう 4 -くまちゃんのかいもの」(福音館書店)

「うみはおおきい うみはすごい」(農文協) 表紙

展示会ではアクセントをつけるためにほんの少しニュアンスの違う額やマットの色を使う絵があります。多くは開催地にちなんだものなので、機会がありましたらそんな額装の絵を探されてはいかがでしょうか。

「むしばミュータンスのぼうけん」(童心社)
この原画は白地のため、絵本の背景色にあわせたマットの色です。目立つ、珍しい色あいの一例です。