編集室より

『かこさとしあそびの大星雲』は10巻からなるシリーズで、その8巻目『いまはむかし れきしのあそび』(1993年農文協)は、火を初めて使った人の歴史からこの本が書かれた1990年初頭までの歴史的出来事とその年代の覚え方など、歴史に親しめるよう工夫された27場面から構成されています。

前見返しには「じんけんせんげんのもとのぶん」が描かれるなど、全部ひらがなで書かれる本文でありながら、内容は大人もうならせる本格的なものです。「人権宣言」の絵の次には「かこさとしから、おとなのひとへ」として「れきしという活劇大作品の楽しさをーーー」と題する、以下のようなメッセージがあります。

(引用はじめ)
かつて歴史は暗記ものといわれ、ツマラナイ、キライ、イヤナ学科とされてきました。しかし、古今東西の英雄美女の活躍や、わくわくする事件など、ケンランで豪華、時に非常冷厳な社会を描いた比類のない大作品なのに、どうして楽しく学ぶことができなかったのか不思議です。どうか、この本の愛読者の中から、ヘロドトスやトインビーのような歴史家が出てきてほしいと願っています。
(引用おわり)

宗教、政治の出来事だけでなく、日本の平安時代の女流文学やルネサンスにも触れ、最後には「せんそうがなんどもおこった」と20世紀の戦争で戦った人の数や亡くなった人や怪我をした人の数、使った弾薬の量やお金もわかりやすくまとめられています。

最後の場面のタイトルは「きょうというひは あす れきしとなってゆく」で「きみもあたなも れきしをつくる ひとりのにんげん」とあります。

あとがきをご紹介しましょう。

かこさとし あとがき 「歴史年号ことば遊びについて」

(引用はじめ)
歴史とは大河のように、いろいろなものをとかし、うかべ、流してゆきます。すごいじけんやすばらしい人が、どうしてそうなったのかを知ることは、これからどう世の中が動いてゆくかを予知する大きな目安となります。そのためにはその時、まわりでは、他のところではどのような状況であったかを考える必要があります。そのため年号を知るのが大きな手がかりとなるので、いくつかの「年号のことば遊び」を記述しました。もっとよい「歴史年号ことば遊び」ができたら教えてくださいね。
(引用おわり)