編集室より

有名人にあやかって命名されているといえば、この人。『どろぼうがっこう』(1973年偕成社)の「よにも なだかい くまさか とらえもん」先生は熊坂長範という歌舞伎や謡曲にも登場する義賊からお名前を頂戴しています。

生徒は「ネズミこぞうの じろきち」「いしかわの ろくでなし」とどろぼうならではの命名に笑ってしまいます。しかも、続編『どろぼうがっこう だいうんどうかい』(2913年偕成社)では、「アレ・カッポレ」(下)という青年が登場、事件を起こしますが、校長先生に勧められて、「どろぼうがっこう」に来ることになります。

「かこさとし」本人の名前から命名されているのが『カッコーはくしのだいぼうけん』(2022年復刊ドットコム)の主人公です。髪型、ヒゲこそ少し違いますが、メガネで「よあけになるとおきだし」「そうじといぬのさんぽ」「それからしごとにかか」るという習慣もそっくりです。

ただし、犬の散歩は庭で犬を走り回らせることなので、犬をひく姿はご近所の方でも目にすることはなかったはずですが、朝夕に箒を持つ姿は時計がわりになるほど規則的でした。

あとがきにあるように「人が好くって優しくて、知恵と正義のかたまりのような」点も共通しているように思います。いずれの作品にも、かこの思いがたっぷり込められていますので、場面の隅々までお楽しみください。

(上は『カッコーはくしのだいぼうけん』冒頭の場面)