2021

『新版 科学者の目』(2019年童心社)

41人の業績、葛藤 簡潔に

静岡新聞のこどもかがく新聞は、科学に関する情報が満載です。[かがく図書館]コーナーで紹介されたこの本は、古今東西の科学者たち41人の科学者としての着眼点や研究方法、生き方などをわかりやすく深く解説する伝記です。物事をどう捉え、考えれば良いのか、あるいは生き方について考える時、この先人たちの歩んだ道は、こどもにも大人にとっても示唆に富んだものと言えるでしょう。

2021年10月3日まで東京都町田市民文学館ことばらんどで開催の「つながる・つながれ!のりものえほん展示」で、『地下鉄のできるまで』(1987年福音館書店)の表紙を含め5枚の複製画が初披露されています。
乗り物好きの皆様だけでなく、季節の変化やそれにともなう人々の暮らしも描きこまれ、機械以外のところにも見所があります。
この展示会には鈴木まもるさんの「ピン・ポン・バス』の絵など船や新幹線など乗り物がたくさんです。
10月3日まで、「お乗りの方はお急ぎくださ〜い。」

かこさとしは晩年、肩書を「絵本作家」でよろしいですかと聞かれると、作家というのは夏目漱石や芥川龍之介のような才能ある人たちのことで、自分はとてもそんな存在ではく「児童問題研究」をする者と言っておりました。

『だるまちゃんの思い出 遊びの四季』(2021年文春文庫)は、久留島武彦文化賞と日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した『遊びの四季』(1975年じゃこめてい出版)を底本に、加古によるカラーの挿絵や写真、エッセイや解説を加えたものです。もともと挿絵がほぼ各ページにあり、優しい独特の独特のタッチが内容を一層わかりやすいものにしています。

書評を書いた松永裕衣子氏は、その受賞時のかこの肩書きは「子どものあそび研究家」であることを紹介しながら「ページを開けば、当時の子どもらの元気な姿が目に浮かび、読めば読むほど味わい深く、心にしみるエッセイ集である。」とし、かこが伝えたかったのは、ただの郷愁ではなく遊びの中で身につけ、心に刻んだものであると本書の意義を読み解いています。

お子さんたちが思い切り外遊びをするのが難しい状態が続いています。本来ならば、さわやかな秋空の下で大いに身体を動かして遊んでほしいのですが。。。

せめて絵本の中で、みんなで楽しく遊んでいる姿をご覧ください。『ことばのべんきょう1 くまちゃんのいちにち』では2場面にわたって《そとのあそび》が描かれています。

公園での滑り台や砂遊びブランコ、ジャングルジム。かくれんぼ、缶けりだって怒られません。ベンチにはお年寄りや赤ちゃんをつれたお母さんに乳母車の子どもがいます。ゴムとびやおしくらまんじゅう、ことろことろには昭和の面影があります。それもそのはずこの本が出版されたのは1970(昭和45)年です。半世紀以上経ているわけですから、レトロなものも登場しますが、それが若いお父さんやお母さんには、知らないことがわかると好評の本です。

この本では《へやのなかの あそび》も2場面も描かれています。

《そとのあそび》2場面の絵を藤沢市役所本庁舎の1階ホールで展示しています。お近くにお出かけの際は、是非ご覧ください。

こども達が大好きななぞなぞ。そしてダジャレは、色々あるけれどこんなクイズが『遊びの大星雲1 ひみつのなぞときあそび』(1992年農文協)の冒頭にあります。


【さるくんが かぎを もっています。 いったい どこの かぎでしょうか。】

次のページに以下のように答えがあります。

【かぎの ことを えいごで キー、さるの ことはモンキーと いいます。それで さるの もっているのは、 モン(門)のかぎ(キー)となります。】


この本の副題は「生活機器の内部の秘密」で、かぎの秘密をどろぼう学校のかわいい生徒たちがクマサカ先生に習っている絵が添えられているではありませんか。

しかも先生は『どろぼうがっこう』(1973年 偕成社)の表紙に描かれている、かきがね錠の鍵と錠前を手に黒板には英語も教える充実した授業風景!? さすが、クマサカ先生の授業は、実践的でためになります。そして、かこによるかきがね錠の秘密の図解も必見です。

それにしても、このダジャレxなぞなぞxクマサカ先生のコラボ、まいりました!

実は、この絵を原画でご覧いただけます。場所は福井県ふるさと文学館、9月20日まで開催の全国巡回展の会場です。(入場無料) 是非、忍び足で、お出かけください。

「かこさとし絵本展in豊岡」2021年7月17日〜9月26日

「コウノトリ舞う豊岡にだるまちゃんたちがやってくる!」
ポスターやチラシにこうあるように、豊岡はコウノトリの保護や繁殖を全国に先駆けて取り組んできましたので、本展示会の注目は『コウノトリのコウちゃん』(2017年小峰書店)の原画全場初公開です。この本は文、絵共にかこが手がけた最後の作品です。また、コウノトリをデザインした手ぬぐいの下絵もご披露致します。下絵の段階で、かこは亡くなってしまいましたが、これを元に手ぬぐいを作ることができました。

豊岡の豊かな自然に通じる『かわ』や『おたまじゃくしの101ちゃん』の伸びやかな絵もお楽しみいただけます。
詳しくは以下をどうぞ。

かこさとし絵本展in豊岡

2021年7月19日、神戸新聞で紹介されました。記事は以下でどうぞ。

神戸新聞

2021年8月1日、日本海新聞で紹介。以下でどうぞ。

日本海新聞

2021年9月4日兵庫県サンテレビ「コウノトリと共生する豊岡を描く 絵本の展覧会」

豊岡 コウノトリのコウちゃん他

2021年9月7日 NHK 兵庫県のニュース「かこさとしさん展覧会コウノトリ絵本の原画など展示」

NHKニュース 

2021年7月23日 東京新聞(千葉版)でも紹介

市川市文学ミュージアム「かこさとし展 ーこどもは みらいにいきるひとー」2021年7月17日〜9月20日

ポスターやチラシにもあるように、市川市を走る小湊鉄道を舞台にした『出発進行!里山トロッコ列車』(2016年偕成社)の原画に注目です。
もちろん、「だるまちゃん」シリーズ(福音館書店)、『からすのパンやさん』(偕成社)やその続きのお話をはじめ、かこにとって大変思い出深い『わっしょいわしょいぶんぶんぶん』(1973年偕成社)からは展示会では初めてご覧いただく場面、それに『まさかりどんがさあたいへん』(小峰書店)もあるのですから、さあたいへんです!

まだまだあります。2019年の復刊以来、この本の虜になる人が急増している『サン・サン・サンタひみつきち』(白泉社)の全場面展示。これも初めてですから必見です。今からサンタ?と思われた方、今からすでにサンタはクリスマスに向けて一生懸命なんです。その秘密基地の様子を是非、じっくりご覧ください。
以下のMOEニュースでもご紹介しています。

市川市文学ミュージアム かこさとし展

市川市からの情報は以下です。

市川市文学ミュージアム

こちらもどうぞ。

市川市文学ミュージアム グッズ情報

2021年8月11日毎日新聞(千葉)でご紹介。以下でどうぞ。

毎日新聞 市川市文学ミュージアム

2021年8月24日 読売新聞(東京) かこさとし 市川で企画展

市川市文学ミュージアムで開催中の「かこさとし展 ーこどもはみらいにいきるひとー」を紹介、9月20日まで。

2021年9月9日 東京新聞 TOKYO Web みんなで絵本にワクワク 市川で「かこさとし展」 「小湊鉄道沿線の旅」原画など紹介

東京新聞

全国巡回・福井  

福井ふるさと文学館2021年7月16日〜9月20日

全国巡回展、2021年夏は福井県ふるさと文学館(福井市)で7月16日から9月20日まで開催されます。
副題の通り、だるまちゃんもからすのパンやさんも大集合。本巡回展では、原画も多く飾られますのでも楽しみ倍増です。毎回各地で好評のご当地コーナーでは、なんと、あの、くまさか校長先生が、生徒と共に原画で登場します! しかも、もしかしたらご覧になったことがない場面、初公開です。

2021年5月に文春文庫として刊行された『だるまちゃんの思い出 遊びの四季』は、かこが7歳まで過ごした福井県での幼き日々を回想し、子どもにとって大切なものは何なのかを問うエッセイスト賞受賞作品です。その手書き原稿も初展示します。勢いのある筆致をどうぞ間近でご覧ください。

福井ふるさと文学館 かこさとしの世界展

福井チラシ

はぐくむネット

2021年8月11日北陸・信越観光ナビやYahoo!ニュースでも見どころを詳細に紹介しています。以下でどうぞ。

北陸・信越ナビ

福井 ふるさと文学館

同じく2021年8月11日福井新聞でも写真とともにたっぷりご紹介されました。

福井新聞D刊

2021年8月30日「かこさとしの世界」堪能絵本原画、自筆原稿など155点 来月20日まで

毎日新聞 福井

2021年9月11日 日々URALA(ウララ)福井県のおすすめ情報

『ふるさと文学館』で「かこさとしの世界展」。故郷・武生に絵本の原点。

ウララ

おしゃれの定義は千差万別ですが、おしゃれが物語の要素になっているお話があります。

『からたちばやしのてんとうむし』(1974年偕成社)では、「からたちごてん」に、すんでいる「てんとだいじん」の所に、祭りの日、虫たちが揃いのはっぴでご挨拶にやってきます。といっても皆が着ているのは、紙で作ったワッペンを貼った急こしらえのはっぴです。

一方、きれいな着物や服が大好きな「だいじん」は、「あっちのふくを きたり こっちのきものにかえたり おおさわぎ」で、スタイルブックを眺めて服選びをしています。

個性的なおしゃれと言えば、かこ作品のキャラクターのなかでは、この人にまさる人はいないかもしれません。『どろぼうがっこう』(1973年偕成社)の「よにも なだかい くまさかんとらえもん せんせい。」です。世にも名高いというのは、謡曲や歌舞伎で出てくる想像上の大泥棒、熊坂長範をモデルにしているからです。

この髪型、歌舞伎役者さながらの出立ちで、教壇に立っています。

さて、その翌日はといえば、これまたド派手な羽織、金時計に合わせたかのような着物の色合いに茶系を基調にした小物使い。注目はその羽織が五つ紋で、なんとその紋がクマ! いやはや、これには、びっくり。参りました!

このクマサカ先生に会えるのが、現在藤沢市民ギャラリー開催中の「夏!かこさとし絵本展」と同じフロアの別室(常設展示室)で同時開催の「ドロボー浮世絵大集合」。これをご覧になるとクマサカ先生のおしゃれのセンスに納得いただけることでしょう。いずれも無料です。お楽しみください。

パラリンピックが始まりますが、その中にある競技、シッティングバレーボールは、1956年に戦争で負傷した人によって考案された歴史があり、日本でチームができたのは1992年だそうです。

かこは「おすわりバレー」という名前でこれを「バレーボールごっこ」遊びとして1990年出版の『こどもの大宇宙1おにごっこ じんとりのあそび』(農文協・下)で紹介しています。家の中のような広さが限られた室内でこどもたちが遊ぶためのもので、ボールではなく「かみふうせんやビニールぶくろに くうきを いれ、ふくらまして」ボールとすると解説があります。

この本の表紙を飾るピクトグラムのような紙粘土の立体人形はかこの手作りです。
この本を執筆した時には、まだまだパラリンピックやその競技は今のように知られていませんでした。

1988年のパラリンピックから、正式種目に採用されたボッチャは、ヨーロッパが発祥とされているそうですが、『あそびの大惑星8 あんただれさ どこさのあそび』(1992年農文協)では、世界のボールあそびの一つとして、ボッチャー(ドイツ)を紹介しています。かこさとし、先見の明があったのでしょうか。うーん、まいりました!