こぼれ話
5月、薫風の季節ですがニュースに暗い気持ちになるこの頃です。
そんな中、元気な色の表紙に、満身の力を込めてジャンケンに集中しているだるまちゃん、残念ながら負けで。。。てんぐちゃんの笑顔とは対照的ですが、見ていると笑顔になってしまいます。
創業70年という記念の年を迎えた福音館書店の「母の友」5月号、絵本のひみつコーナーには『だるまちゃんとてんぐちゃん』(1967年)が登場、この絵本にまつわるかこのインタビュー記事が再録されています。「笑っている子は乗り越えようとする力を持っています」というかこの言葉に、世界中の子どもがそうであってほしいと願っています。
そして巻末には5月のカレンダー(下)付きです。5月がいい月でありますように。
上の写真、左側は、「こどものとも」の折り込み付録「絵本のたのしみ」で、4月と5月の配本にはこどものとも800号記念として『だるまちゃんとてんぐちゃん』が生まれた日、と題するこのインタビュー記事が2回にわたり掲載されています。
以下でお読みいただけます。
だるまちゃんが生まれた日
かこさとしおはなしのほんシリーズ(偕成社)の『からすのパンやさん』や『からすのおかしやさん』の店先を連想させるような美味しいものが並ぶお店を巡ってシールを集めるラリーが、かこの生まれ故郷、福井県越前市で今年も始まりました。2022年3月21日までですので、お近くの方は是非美味しいものに加え、特製シールとカードを手にしてください。さらに抽選でグッズも当たるそうです。以下の記事をどうぞ。
越前市 シールラリー
2022年を前にかこさとし公式サイトのタイトル画像を新しいものにしました。2005年全国心身障害児福祉財団のために描き下ろした大きな絵本型紙芝居『だるまちゃん はるのうた ふゆのうた』12場面から7場面をご紹介しています。四季折々の自然の中で元気に力を合わせるだるまちゃんとお友達の姿をご覧ください。最後の場面は皆でついたお餅を届けます。
11場面から12場面にかけての文にかこさとしの思いがこめられていますのでご紹介致します。
(引用はじめ)
風に 寒さに 雪 氷
食べ物 なくて ふるえる ひとに
ぺったん このもち とどけよう
着るもの なくて いえ こわれ
かじかみ こごえ ないてる ひとに
ぺったん いたわり とどけよう
ちから うしない きもち しずみ
あすの のぞみを なくした ひとに
こころを こめて とどけよう
こごえる寒さ しみる雪
耳も冷たい こおる風
そりで くばるは あったか心
きびしさ 胸に 唇かんで
うたもうたわず 声出ぬ人に
しずかに とどけ あったか心
くるしみ つらさ なげきのひとに
えがおよ 戻れ 祈りをこめて
やわらか やさしい あったか心
(引用おわり)
一年に一度雪が降るか降らないかの地域でも、冬はやはり雪のイメージが思い浮かびます。
藤沢市本庁舎に季節ごとに掛け替えているかこ作品、2021年12月からは『ゆきのひのおはなし』(1997年小峰書店)の2枚を展示しています。お近くに行かれましたらご覧ください。
なお、この絵本については以下でおすすめの雪の絵本として紹介されています。
雪の絵本
師走だからでしょうか
だるまこちゃんが走っています。
だるまちゃんも
てんぐちゃんもかみなりちゃんも
おやおや、来年の干支のとらのこちゃんも
そしてその前には、再来年の干支のうさぎちゃんまで走っています。
これは「だるまちゃんかるた」の箱の側面でした。
フダを見てみましょう。
「あ」は、「あしたもあなたとあそぼうね」
「え」の「えんとつえがいたえほんです」には『マトリョーシカちゃん』を夢中で読んでいるだるまちゃんとかみなりちゃん、可愛いですね。
「ん」もあります。
「ん、なんだ
ん、ん、わかった
んとこしょ」
それでは、新年に向けておめでたいフダでご紹介を終わりとしましょう。
「ひがしに ひかり ひがのぼる」
「だるまちゃんかるた」お楽しみください。
2022年卓上カレンダー
「来年のことを言うと鬼が笑う」とはいうものの、そろそろ来年のことが気になります。
2022年の卓上カレンダーはすでに販売開始、本年の『だるまちゃんとてんぐちゃん』に続き、『だるまちゃんとかみなりちゃん』が登場です。というわけで、来年のことを言うと「かみなりちゃん」が笑うのです。
本年のカレンダー同様、各月の行事にちなんだ絵や解説が『こどもの行事 しぜんと生活』(小峰書店)のシリーズから掲載されています。豆知識が確認できる楽しいクイズ付きというのが新しいところ。お手元でご愛用いただけたら嬉しいです。
2022年かみなりちゃんカレンダー
お天気は子どもたちにとっても大きな関心ごと。雨では外遊びはできないし、雪は雪国以外では待望のものでしょう。『くもりのひのおはなし』(1998年小峰書店)で描かれているように、靴などのはきものを飛ばして落ちた向きでお天気占いとしたことが誰にでもあるのではないでしょうか。
このシリーズ(1997〜98年小峰書店)では、晴れ、曇り、雨、風、そして雪の5つのお話がありますので、空模様に合わせて読み分けるのも楽しそうですし、明日の天気を予想して選ぶのも面白いかもしれません。
どのお話も、さあちゃん、ゆうちゃんのおうちから始まり、この二人の子どもと動物たちが、それぞれの天気にふさわしい遊びを楽しみます。きっと読み終わったら同じ遊びをしたくなります。
内容に加えタイトルがかこの手描きであること、前・後ろの見返しも本文同様のしっかりとした絵があることも楽しみな見どころです。
実は、さあちゃんゆうちゃんのおうちが越前市の武生(たけふ)駅前にある屋内施設、「てんぐちゃん広場」に再現されています。どなたでもご自由に入場できますが、お子さんの年齢により入場できるエリアを分けていますのでご協力お願い致します。
「てんぐちゃん広場」については以下で写真とともに紹介されています。
てんぐちゃん広場
お子さんたちが思い切り外遊びをするのが難しい状態が続いています。本来ならば、さわやかな秋空の下で大いに身体を動かして遊んでほしいのですが。。。
せめて絵本の中で、みんなで楽しく遊んでいる姿をご覧ください。『ことばのべんきょう1 くまちゃんのいちにち』では2場面にわたって《そとのあそび》が描かれています。
公園での滑り台や砂遊びブランコ、ジャングルジム。かくれんぼ、缶けりだって怒られません。ベンチにはお年寄りや赤ちゃんをつれたお母さんに乳母車の子どもがいます。ゴムとびやおしくらまんじゅう、ことろことろには昭和の面影があります。それもそのはずこの本が出版されたのは1970(昭和45)年です。半世紀以上経ているわけですから、レトロなものも登場しますが、それが若いお父さんやお母さんには、知らないことがわかると好評の本です。
この本では《へやのなかの あそび》も2場面も描かれています。
《そとのあそび》2場面の絵を藤沢市役所本庁舎の1階ホールで展示しています。お近くにお出かけの際は、是非ご覧ください。
藤沢市役所本庁舎1階では、1枚ではありますが、季節ごとに絵本の絵を展示しています。
2021年6月7日からは『サザンちゃんのおともだち』(1973年偕成社)の場面で、アフリカにすむ動物たちが、おまつりで元気いっぱい、素敵な踊りを披露します。おや?! 見慣れた様子とは少し違うようです。いったいどんな姿なのでしょうか。どうぞお楽しみください。
写真のような◯を見て記号ですと言われたら、なんの記号と思われますか。
気象記号なら、快晴、晴、雨ですが、地図記号なら最初の◯は町村役場です。ちなみに◎は市役所で(気象記号なら曇)、黒い小丸、というか点3つで茶畑です。『かわ』(1962年福音館書店)の裏表紙(下)には地図同様、記号もかこの手書きで書かれています。
さて、冒頭の記号ですが、 ドルトン(1766.9.6〜1844.7.27)考案の記号によると、酸素、窒素、炭素となります。◯の中に縦線1本は窒素、2本になるとナトリウム、3本はカリウム。また、◯の中に+は硫黄、◯の中央にもう一つ小さな黒い丸⚫︎は水素だそうです。
『世界の化学者12か月』(2016年偕成社)の前扉(上)にドルトンの横顔とその原子記号が描かれています。丸い物、りんごにメロン、かこが好んだサッカーのボール、そして地球まで出てきてそちらに目が行きますが是非ドルトンとその記号にご注目ください。
しかしながら、◯の中に多様に書き込んでも原子全てを表すことができず、ドルトンは頭文字(英語)を入れたそうです。
その◯を取り、原子のラテン語名の頭文字を使うことを考案したのがスウェーデンの化学者ベリセーリウスで、現在の原子記号の元になったと『原子の探検 楽しい実験』(1981年偕成社)にあります。
「頭文字がおなじときは。2番目か3番目の字をもうひとつつけて、区別するようにしました。」
上下の図はそういった経緯を説明するもので、3段目に錬金術師の記号、続いてドルトンの記号、最後の段がベルセーリウスの記号です。原子記号は「科学を勉強するための、世界共通のことばとなっているのです。」
ドルトンは化学、物理学、のみならず植物学、昆虫学、数学なども研究し15歳から78歳で生涯と閉じた前日まで気象観測を行い記録をとりました。その興味深い生涯については『科学者の目』(2017年童心社)で取り上げています。是非、ご一読ください。