こぼれ話
カラス
加古は戦中戦後の食料難の若い頃、畑を耕してはカラスに種を取られたりと苦労をしたものの、なぜかにくめず、むしろ人間の有様をじっと見ているカラスに興味をもったようです。やがてカラスを主人公にした手描きの絵本や紙芝居を作成したことから後に「カラスのパンやさん」(1973年 偕成社)が生まれることになりました。
上にご覧いただいているのは2012年越前市の子どもたちへむけて描いたメッセージで原画は絵本館に展示してあります。
(引用はじめ)
未来をひらくため
自分で努めて学問や科学を学び
芸術や文化を愛する
かしこい子どもをめざしましょう
また自分のくせや力にあった方法で
すこやかな心と体をそなえた子どもになりましょう
そしてこうのとりのように世界に向って
力いっぱいはばたいて進んでゆきましょう
(引用おわり)
越前市の鳥・コウノトリとからすが一緒に飛んでいます。
コウノトリ
2017年2月に刊行された、加古の書き下ろし最新作「コウノトリのコウちゃん」(小峰書店)では越前市の取り組むコウノトリを育む活動を紹介しながら生き物の共生をテーマにしています。
カ・コのコンビ
ところが、カラスとコウノトリ、実は仲が良くないそうです。上にご覧いただいている写真は、コウノトリ育む会の三好栄氏が2016年4月19日に撮影されたものです。コウノトリがからすを追いかけるかのようです。自然界ではそれぞれの種がバランスを保つのは難しいのでしょう。
8月11日に開園するかこさとし監修の全国でたった一つの公園、越前市武生(たけふ)中央公園には、「だるまちゃんひろば」「パピプペポーひろば」「コウノトリひろば」があります。絵本の世界が投影され、山並みを望む大空間、綺麗な空気の中でのびのび遊ぶことができます。そこでは自然界ではむずかしいカラスとコウノトリも仲良く一緒に皆様をお迎えします。カ・コのコンビに会いに是非お越し下さい。
福井県越前市かこさとし ふるさと絵本館 石石(らく)でお配りしているカレンダーです。小さくてご覧になりにくいと思いますが、実物はB4サイズです。
4月から始まり緑の欄は行事、青い欄では「もとのえをみるへや」、つまり原画展示のお知らせで年に4回の展示替えがわかります。ピンクの欄で休館日をおつたえし、そのほか定例イベントの時間帯や1階のえほんのへや、あそびのへや、屋外ひろばの様子を伝えています。
ご来館の記念に是非お持ち帰り下さい。裏面も必見で本年度は3種類あります。いちばん小さいお子さん向けのものはこれです。
「行事とあそび こどものカレンダー5月のまき」(1975年偕成社)からの[どうぐしらべ]です。「いろいろなどうぐがありますね。だれがどんなどうぐをつかっているのか、わかりますか?」と本文にあり、左下には、「おうちのかたへ 動作と物を関係づけて認識する力は、日常生活のなかで注意してものごとをみる態度からうまれてきます。」と著者からの一言があります。
もう一枚も小さいお子さん向けです。
同じシリーズの10月の巻から[どうぶつのはやさくらべ]です。
そして最後は、「かこさとし あそびの大星雲 10ちえとちから わきでるあそび」(1993年農文協)から[せかいの こどもの こんにちは]。フランス、イギリス・アメリカ、スペインなど欧米はじめイラン、パキスタンやアジアの国々それに沖縄ことばなど、「こんにちは」の言い方が40の原語とカタカナで記されています。言葉に興味を持ったり、世界に目を向けるきっかけになれば嬉しいです。
このカレンダーにあるように、「あかいありとくろいあり」(1973年偕成社)の」展示は6月25日までですのでお見逃しなく。
6月26・27・28日は展示替えの為休館、6月29日からは「かいぶつトンボのおどろきばなし」(2002年小峰書店)を展示します。
ふるさと絵本館では、毎年4月26日の開館記念日に合わせてイベントとともに新しい工作をご紹介しています。これまでには、ダンボールを利用して作る「だるまちゃん」「マトリョーシカちゃん」「てんじんちゃん」などがありましたが、今年加わったのが、市販のキャラメルの箱を使っての「あかいありとくろいあり」(1973年偕成社)に登場するあかあり「ぺっちゃん」(上の写真)作りです。いずれも考案は早未恵理さんです。
(下の写真は「てんじんちゃん」「マトリョーシカちゃん」とみなさんの作品「だるまちゃん」)
中箱を動かすと、仕掛けた箱上のぺっちゃんがキャラメル(作りもの)を舐めるような動きをします。あかありを自分描いて切り取るのが細かな作業ですから、親子で協力して作るのも完成の喜びを共有できていい思い出になりそうです。
(出来上がった個性豊かなあかいありの「ぺっちゃん」)
お子さんが集中して取り組む姿は普段見られない一面かもしれません。ゆっくりじっくり工作に集中する時間を絵本館で過ごしていただけたら幸いです。
他にもビスケット型のビュンビュンコマなど、小さいお子さんでも簡単に作れるものもあります。工作は準備の都合がありますので事前に絵本館にお問い合わせの上、お出かけ下さい。
かこさとしは2016年春に90歳を迎え卒寿記念に私設ギャラリーで記者会見をいたしました。
当ウェブサイト開設前でしたのでお知らせできませんでしたが、NHKの朝のニュースや新聞各紙で、90歳でも現役、さまざまな作品を刊行することを報道していただきました。
記者会見には絵本館のある福井県越前市の奈良俊幸市長と「出発進行!トロッコ列車」出版のきっかけとなった小湊鉄道の石川晋平社長の両氏をお迎えし、ご挨拶をいただきました。
(左から小湊鉄道・石川晋平社長、奈良俊幸・越前市長とかこさとし)
2017年夏に整備がととのう越前市武生中央公園の監修をかこさとしがすることに関して、そのシンボルとなる壁画のデザイン等がお披露目されました。
小湊鉄道社長さんのよる「トロッコ列車」の歴史をまとめた貴重な映像と解説に参加者は興味をそそられました。(2016年11月、小湊鉄道の駅舎・橋梁・隧道など22か所が国の登録有形文化財として登録されることになりました。)
また、福音館書店、偕成社、小峰書店、復刊ドットコム、河出書房新社、文藝春秋社の各社の編集者さんより卒寿記念として出版されたばかりの本や2016-17年に刊行予定の本についての説明があり、最後にはだるまちゃん音頭の初披露で、一層和やかな会見となりました。
以下では、朝日新聞デジタルニュース(2016年3月31日)かこさとしさん、90歳新刊続々「もっと書きたい」の動画ニュースがご覧いただけます。
http://www.asahi.com/articles/ASJ303FL8J3ZUCVL029.html
今年の10大ニュースとか、◯◯大賞とかが話題になる時期になりました。
2016年は加古里子が90歳を迎え、福井県越前市にある、かこさとし ふるさと絵本館 石石(らく)の開館記念日4月26日にあわせこの公式ウェブサイトを開設いたしました。このことがなんといっても大きな出来事でした。
東京のスタジオで「だるまちゃん音頭」の収録をしたのは、お正月のことでした。
お子さんたちの歌、篠笛、そしてミネハハさんの歌と各々を収録していきます。作曲の飯田俊明さんがOKをだしても納得ゆくまで「もう一度」とくりかえし演奏される篠笛の山崎泰之さんをガラス越し拝見し、プロフェッショナルの心意気を教えられたようで、新年早々にこのような場に立ち会えたことは大きな刺激と一年に向けての意気込みを固めることとなりました。
京都では茂山逸平さんとお弟子さんによる振り付けを録画して、ついに、だるまちゃん音頭のCD・DVDが完成しました。
桜が満開の4月3日、東京・にしすがも創造舎での福音館こどものとも創刊60周年のイベント「だるまちゃんデー」では体育館いっぱいにだるまちゃん音頭と太鼓の音が響きわたりました。
(にしすがも創造舎でのだるまちゃんデーに行われた巨大だるま落としは、力を入れるタイミングがなかなか難しそうでした。)
テレビ局の取材クルーも到着。体育館にはやぐらも組まれ万国旗よろしく、だるまちゃんの表紙の絵が会場を飾り準備も整いました。
地元のお子さんたちによる見事なバチさばきで音頭は一層盛り上がり、大人も子どもも輪になって何回も踊りました。
ノリの良いミネハハさんの歌声は一度聞いたら忘れられません。実はミネハハさんは筆者の中学・高校時代の上級生で生徒の頃から、その歌唱力は学校中に知られていました。11月22日(火)夜8:57~「マツコの知らない世界」(TBS)に出演されるそうです。
「だるまちゃん音頭」は以下の福音館書店さんのホームページにあります。
寒くなってきますが、音頭を踊って寒さを吹き飛ばしてください。
http://www.fukuinkan.co.jp/ninkimono/daruma/ondo.html
11月になりました
11月を迎え来年のことが話題になる季節になりました。
ご覧いただいているのは「かこさとし おはなしのほんカレンダー」11月(ケイエス販売)です。このカレンダーは、偕成社から刊行されているおはなしのほんシリーズ20冊の中から季節や行事にちなんだ絵を月ごとのカレンダーにしたもので、今月の絵は「からすのてんぷらやさん」から、紅葉が色づく会場での賑やかなおめでたい場面です。
「からすのてんぷらやさん」(偕成社2013年)の表紙と裏表紙。
この絵本は「からすのパンやさん」の4わのこどものうち3番目に生まれたレモンちゃんが、大きくなって思いもかけない事件に遭遇し仲間とともに奮闘する物語です。
あとがきの一部をご紹介します。
(引用はじめ)
私は戦災や震災の時、レモンさんのような方がたに何人も接して、平時では得られぬ貴重な教えをいただいてきました。そして人間の社会は、ただ大勢いるのではなく、たがいに助けあい、補いあって、「社会」がなりたつことを知りました。
それが、このお話しをかこうとおもったきっかけです。
(引用おわり)
尚、本文は縦書きで漢字には全てふりがながふってありますが、ここでは省略しました。
上は、来年2017年のおはなしのほんカレンダーです。2018年1月までの13場面と20枚のメモリアルシールが付いています。
絵本とは違い文字がありませんので絵をじっくり楽しんでいただけます。お忙しい日々、ふと見るカレンダーの絵に和んでいただけたら何よりです。
かこさとしの複製原画をご覧になられたことがありますか。
実は古い原画は紙質も悪く、保存状態が良好だったとはいえず、随分いたんで額にいれて展示するの難しいものが多々あり「かわ」(1962年福音館書店)などはこの50年間展示したことはありませんでした。
最近は複製する技術が格段に進歩し国宝の絵画を複製にするような技術を使っての再現が可能となったことで額装してご覧いただけるようになりました。紙は特殊なものを使用するため触れば違いがわかる場合もありますが、元の紙質を写し取ることにより非常に正確に複製されますので、本の印刷では出せない原画の色鮮やかな画面を楽しんでいただけます。
複製原画をご覧いただける場所ですが、福井県福井市ふるさと文学館、福井県ゆかりの文学者のコーナーに2-3点が常設展示となっています。また、同県越前市かこさとし ふるさと絵本館石石(らく)の2階には常時40点以上の複製原画が展示されています。ここでは年に4回展示画の入れ替えをしていますが、毎回、加古作品の中から選んだ一冊の全ページ分の(作品の一部だけではなく)複製原画を見ることができます。
額装マットには、白ではなくやや薄い明るいベージュ系の色を使うことが多く、本ホームページ背景色もその色を基調としています。上述の越前市絵本館では下絵を展示することもあるのが特色ですが、下絵にはもっと茶色の濃い色合いのマットを使用し区別しています。
「からすのパンやさん(偕成社)裏表紙。本ホームページもこの色あいを基調にしています。
小さいお子さん向け、例えば「ことばべんきょう」には元気のでるレモンイエロー系、科学絵本の場合はより白に近い色やグレー系。「どろぼうがっこう」(偕成社)は真っ黒に金属的な額で牢屋のイメージ。
「ことばのべんきょう 4 -くまちゃんのかいもの」(福音館書店)
「うみはおおきい うみはすごい」(農文協) 表紙
展示会ではアクセントをつけるためにほんの少しニュアンスの違う額やマットの色を使う絵があります。多くは開催地にちなんだものなので、機会がありましたらそんな額装の絵を探されてはいかがでしょうか。
「むしばミュータンスのぼうけん」(童心社)
この原画は白地のため、絵本の背景色にあわせたマットの色です。目立つ、珍しい色あいの一例です。