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「書けなかった戦争」見つけた
戦後80年目の夏を前に、世界の平和を考えずにはいられない昨今です。
2025年5月23日朝日新聞朝刊(神奈川版)に鈴木万里のインタビュー記事が5枚の写真とともに大きく掲載されました。
「未来への伝言 戦後80年」コーナーの上記の見出しで、かこさとしが切に願っていた平和を守るため、写真の3作品の背景、出版の経緯や込められたメッセージなどをお話ししています。
青葉若葉が茂るこの季節、ふと思い出すのはスズランの花。北の大地では今頃咲いているのではないでしょうか。
そしてスズランが登場するかこ作品を読み返すのもこの季節です。
ひとつは『しらかばスズランおんがくかい』(1986年偕成社)。
絵本の裏表紙にはハリネズミがスズランを手にしています。あとがきには、ご覧のような絵(下)とともに「シラカバの林にスズランの花が咲いている風景というと⋯」という出だしで、実は「地味のやせた、寒冷の厳しい所」で、「一見美しいが、その実、とても厳しい」場所にすむ動物がこの絵本にはたくさん登場します。
束の間の夏、「おとをだすおもちゃ」のまわりでくりひろられる動物たちが詩情ゆたかに描かれるこの絵本は2025年5月28日の福井新聞1面のコラム「越山若水」でも取り上げられてました。
このお話の元になったのが、新聞に掲載した「おおきなおおきな おとしもの」という1963年作の小さなお話で、『かこさとし童話集②」に掲載されています。短い文章ですが2ページにわたる挿絵(下)があり、絵を見ながら自分で続きのお話作りを楽しんでいただきたいという加古の願いが込められているようです。
もう一作ご紹介したいのがウポポイが開館した記念に復刊していただいた『青いヌプキナの沼』(1980年/2020年復刊ドットコム)です。
ヌプキナとはアイヌの言葉でスズランのこと。スズランが咲く青い沼の地でアイヌの人々に起きた悲惨な出来事は、決して歴史の闇に葬り去ってはならないという強い気持ちが込められている作品です。
スズランに託したかこさとしの思い、願いが皆様に届くことを願ってやみません。
『青いヌプキナの沼』のあとがきは以下でどうぞ。
青いヌプキナの沼 あとがき
子どもの読書週間が5月12日に終わるのを前に「「考える」ことへと誘ってくれる⋯本との良い出会いを期待したい」と結んでいる福井新聞1面の「越山若水」で加古里子(かこさとし)著『宇宙』を取り上げていただきました。
この科学絵本はノミのジャンプという思いがけないところから始まるので有名ですが、それは人間が宇宙に飛び出すには高く速く飛ぶことが必要ということの発端として、身近な例から少しづつ理解の範囲を広げてゆくという加古の手法です。
こうして順を追って61ページある本文の31ページなってようやく地球の重力の影響を受けない宇宙空間に達することがことができるようになり、そこからが本格的に宇宙探索となります。
『宇宙』の表紙に描かれている国立野辺山天文台は加古がこの本を執筆している当時は建設中でした。この絵の右下には小さく車が描かれていてこの天文台のアンテナの巨大さがお分かりいただけることと思います。
宇宙はこの本が出版された時に比べ遥かに私たちの生活に密接に関わってきています。大人の方々にもお子さんたちにも手に取っていただけたらと思う絵本です。本書の最後にはこう書かれています。
「この おおきな うちゅうは にんげんが はたらいたり かんがえたり たのしんだりするところです⋯あなたの かつやくするところです。」
2025年4月26日で開館12周年を迎えた越前市ふるさと絵本館にて鈴木万里が講演をいたしました。
2023年から24年にかけて順次刊行された『かこさとし童話集』(偕成社)10巻。
かこさとしを理解する上でこの『童話集』が重要な意味を持つこと、そこに込められた思いを紐解き、地元越前市が舞台となったお話を紹介しながらの90分間でした。
ご質問もあり、皆様大変熱心にお聴きくださったばかりか、童話集に登場する地元の情報を教えていただくこともできました。お集まりいただいた皆様、ありがとうございました。
翌4月27日には福井県ふるさと文学館開館10周年記念対談「未来へ伝えるかこさとし作品」というテーマで元偕成社編集者の千葉美香さんと対談をいたしました。
千葉美香さんは『太陽と光しょくばい物語』『からすのパンやさん』の続きのお話や『過去六年間を顧みて』や『かこさとし童話集』の編集をしていただいた方です。
『童話集』の原稿を託された時のことから始まり、246話の中から「トンネルの童話」や「スピッツベルゲン協会の集まり」を取り上げ、前者の文学性や後者に込められた強いメッセージについてお話しました。また最後には最新作『くらげのパポちゃん』(講談社)もご紹介、定員の100人近い方々がメモをとりながら熱心にお聞きくださいました。
この対談については2025年4月29日の中日新聞福井版に、5月5日の福井新聞、5月17日には読売新聞大阪版に記事が写真入りで掲載されました。
2025年5月5日 福井新聞 ふるさと文学館
2025年4月16日の読売新聞石川県版「北陸小旅行」で紹介されたかこさとしふるさと絵本館。(写真は記事掲載のものではなく、昨年の連休の様子です)
武生中央公園からごく近いところにあり、外にはこんな遊具もあります。
館内1階には、かこさとしの絵本がほぼ全て揃い、手にとってご覧いただけます(貸し出しはしていません)。
靴を脱いで入る、遊びの部屋には写真に撮りたいフィギュアもあって、いろいろなイベントが楽しめます。
2階には複製原画や資料が並び、貴重な映像も。火曜日が休館ですが、連休前後は以下のような休館日となります。
絵本館とかこさとしの世界感溢れる武生中央公園、そして4月21日のNHK福井「ニュースザウルスふくい」で紹介された墓所のある引接寺(いんじょうじ)は武生駅と絵本館の中ほどに位置しています。このお寺の幼稚園に幼い加古は通いました。その洋風の園舎は今でも幼稚園として使われています。
絵本館への旅をお楽しみください。
『くらげのパポちゃん』(講談社)は2025年2月5日に刊行され、早くも2か月が過ぎ、おかげ様で様々なメディアでご紹介いただいていますが、月刊誌MOE5月号ニュースのページで出版記念記者会見の写真とともに紹介されました。
かこさとし生誕99年を祝うイベントが越前市ふるさと絵本館で開催されました。(上の写真はかこさとしふるさと絵本館提供)
こどもさんたちが「だるまちゃん」や「からすのパンやさん」の塗り絵を楽しみ、その画像がデジタルアートとして天井や壁面に写し出されました。
また、同時に床に映されたケンパを踏むとデジタル花火が打ち上がり、お祝いムード全開。賑やかな記念イベントとなりました。
その様子が写真と共に2025年3月30日の福井新聞で報じられました。
福井新聞 絵本館 かこさん生誕99年
「孫が絵を付け かこさん遺稿が絵本に」
2025年2月5日に出版された『くらげのパポちゃん』はかこさとしが1950年から55年にかけて書いたもので2021年に見つかり、孫の中島加名の画描によって絵本となりました。
創作当時、かこさとしは目の前にいた戦争で家族を失った子どもの心に寄り添い、「パポちゃん」の大海原での冒険を通して、戦争がもたらした悲しみと憤りを伝えたかったに違いありません。
朝日新聞こどもの本棚 くらげのパポちゃん
みなさんの「こころの玉手箱」には何が入っているのでしょうか。
ヨシタケシンスケさんによる『からすのパンやさん』の思い出が紹介されました。
日本経済新聞 こころの玉手箱 からすのパンやさん
加古にとっては,小学生時代、母から小銭を渡されて、学校前の文房具屋さんで買う、ジャムをぬった食パンを食べるのが大変嬉しかった、と晩年になってからも繰り返し懐かしそうに話していました。
それぞれのパンについては公式サイトの左下にある50周年記念特別サイトをご覧ください。
「友に薦めたいこの1冊コンクール」
読売新聞によると、小学生を対象にした「友に薦めたいこの1冊コンクール」で『ピラミッド』(1990年偕成社)を取り上げた小学6年生が、約4000点の中から最優秀賞(藤嶋昭賞)に選ばれ2月16日に表彰式が行われました。
『ピラミッド』はその建造の歴史、背景、文化などを絵や図表を駆使してわかりやすく、詳細に説明していて、こどもから大人まで読み応えのある大型絵本です。
毎日新聞『ピラミッド』を読んで最優秀賞
2025年2月28日のタウンニュースでも報じられました。
タウンニュース2025/2/28