編集室より

かこさとし あそびの大星雲4

上は、かこさとしあそびの大星雲シリーズその第4巻 『かがくのぼうけんあそび』の一場面で、リトマス試験紙がなくても、紅茶やムラサキキャベツの色がわりで、酸性、アルカリ性の強さがわかることを紹介していす。

この10巻シリーズには、「あとがき」に加え、前書きにあたる「かこさとしから、おとなのひとへ」があります。第4巻のメッセージをお届けします。

かこさとしから、おとなのひとへ

アトムはみんなまってます

(引用はじめ)
どこの家庭にもある台所は、すでに立派な化学実験室ですし、食物を料理・調理する事は、極めて高度な化学操作の集積です。また衣服の材料や住居の温調・入浴・洗たくなどの器具や機能は、先端科学技術の実用展示場といっても良いほどです。昔の錬金術の時代にはごく一部の人しか関係できませんでしたが、現在の化学は、子どもを含む全ての人の生活に深く結びついています。この化学を「わからないけれど便利」ではなく、もっと親しい楽しいものとし理解し駆使し、ときにはばけがくと呼んだり、おかしな所は正して、真の化学の利用者・推進者・主人公になってほしい願いをこめて、この本を作りました。水からウランまでアトムは皆それを待っていますし、ごろ合わせのようにみずから(傍点あり)まぜたり、こねたり、ためすのが大好きな未来のキュリー夫人やケクレくんに、この化学の遊びの巻をおくります。
(引用おわり)

かこさとし あとがき

ぼうけんとキケン

(引用はじめ)
化学は理くつより、実験で確かめることが大事です。新しいはじめてのことをするのですから、充分な準備をして、実験にとりかかり、それ以外の結果がおこったた時は、それは新しい反応や現象の発見として、その解明にとりくむーーーそれが化学のぼうけんの本当の意味です。だから「化学はキケン」ではなく「無謀な人がキケン」なのです。本文の中でたびたび器具をていねいに扱うよう述べてあるのも、そのためです。ご注意まで。
(引用おわり)

午後2時〜3時30分 越前市文化センター小ホール(武生中央公園「だるまちゃん広場」脇)

申込不要・無料

越前市武生公会堂にて開催中の「特別展 加古里子ーただこどもたちのためにー」を記念しての対談で、これまでに語られたことのなかった内容は必聴です。

小学校卒業時に作成した画文集『過去六年間を顧みて』(2018年偕成社・下)に書かれているのは、小学2年生で、大勢に見送られて故郷の武生駅を後にした時の誓い。「再び僕とあう日には、自分が望んでいるものになって、りっぱな人となってあいましょう。」

その時に望んでいたものとは何だったのでしょうか? 果たしてその通りになれたのか。加古里子の学生時代のノートなど初公開の資料を見ながら、化学の魅力を伝えます。中学生、高校生の皆さんも是非お越しください。大人の方々にも、「目からウロコ」のお話できっと化学に対する印象が変わることでしょう。

長谷川美貴先生は、青山学院大学教授で、周期律表の世界的コレクターでもあり、加古里子と親交のあった研究者です。

お問い合わせは、越前市武生公会堂 0778ー21ー3900

http://www2.pref.fukui.jp/event/view.php?event_cod=baK6a2155425034956&area_cod=002

「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、春分の日を迎える頃には、寒さも和らぎ桜の開花で春本番となる日本ですが、ヨーロッパでは、イースターが来ると春、という感覚だそうです。

このイースターは年によって日が異なります。というのは、「春分のあとの最初の満月のつぎの日曜日」とされているためです。春分の直後になることもあれば、今年のように4月半ば過ぎ(2019年は4月21日)になることもあります。「今年のイースターは3月だから春が早く来る」だったり、「4月後半だから春が遅い」とヨーロッパで言われるのはその為です。

キリスト教が広まっている国々では、キリストが復活したことをお祝いするイースターを、クリスマス同様、あるいはそれ以上に盛大にお祝いします。

加古作品の中では、『こどもの行事 しぜんと生活 4月のまき』(2012年小峰書店)で紹介しています。多様性が言われる昨今、様々な行事や習慣から異文化を知るのは、いい方法ではないでしょうか。形を真似するのではなく、どんな願いや思いが込められているのかを知ろうとすることに意義があり、このシリーズに込められた願いもそこにあります。

尚、本著にあるように、「ギリシャ語のパスカ(パスハ)は、おなじくキリスト教がひろまる前からおこなわれていたユダヤ教の春のまつりからきた」ものだそうです。

筆者はこれまでに一度だけ「紙芝居」を作ったことがあります。半世紀以上も前のことですから、それ自体が昔話のようですが、このところ雑誌などで取りあげられたのでご覧いただいたかもしれません。「モエ」(白泉社)4月号「かこさとし 名作絵本がいっぱい 永遠の宝物」と題した巻頭大特集の中で、筆者の最初でおそらく最期の紙芝居の絵本版『ゆきこんこん あめこんこん』(1987年偕成社)が紹介されています。

かこさとしは30代40代の頃、ボランティアのセツルメント活動で川崎の子どもたちと毎日曜日遊ぶ際、その始まりに紙芝居をして一体感を盛り上げたようです。皆で一つの画面を見、物語を楽しみ、共通の気持ちを持つことによって遊びも大いに発展したそうです。あるいは遠足の事前指導などにも役立てたりと、紙芝居は子どもたちとの意思疎通のための優れた媒体として大活躍しました。

下は、セツルメント活動で見せていた紙芝居から生まれた絵本『おあいめ くろいめちゃいろのめ』(1972年偕成社)です。2019年3月21日から越前市にある、かこさとし ふるさと絵本館で全場面(複製画)を展示します。

絵本館はこの4月26日に開館6周年を迎えます。この施設が開館する前年、かこさとしの展示会が越前市武生公会堂で行われ、それを機に越前市の歴史や文化をテーマにした創作紙芝居を募るコンテストが始まりました。亡くなるまで加古がその最終審査をしておりました。

2019年2月28日の福井新聞に掲載、告知されたように本年は3月1日に絵本館で「第7回紙芝居コンテスト」の表彰式が行われました。加古の後を引き継ぎ長野ヒデ子さんとご一緒に 最終選考を致しましたが、小学生からご高齢の方まで応募され、個性豊かな紙芝居の数々に感心したり、考えさせられたり、甲乙つけがたい作品に嬉しくも悩みながらの選考となりました。また、亡くなったかこさとしを様々に表現してくださった作品も多く審査を忘れて感慨にふける瞬間もありました。

全国から応募していただき誠にありがとうございました。紙芝居は、誰でもが作って楽しめ、演じて直接、観衆の反応を見ることができる素晴らしい道具です。1人でも多く、来年のコンテストにご参加くださることを楽しみにお待ちしています。

下はセツルメントでも大人気だった紙芝居の絵本版『どろぼうがっこう』(1973年 偕成社)

この本は1977年童心社より刊行された、かこさとし からだの本10冊シリーズの第7巻です。
「上がり目、下がり目、ぐるっとまわしてニャンコの目」と筆者の小さい頃は、目の横に指を置いて遊んだものです。この題名は、そんな言葉遊びから考えられたものに違いありません。

この本を書いた当時、加古は近視でしたがその後緑内障を患い、目の寿命と命の寿命が等しくないことを身をもって知ることとなりました。40年以上過ぎ、受動喫煙に関しては改善されてきた一方、乳児の頃からスマホを見るお子さんもあるとか、目の健康が気になります。あとがきをお読み下さい。

あとがき

(引用はじめ)
私は、残念なことに近視でメガネをかけています。ですから、良いお手本ではないのですが、もっともっと多くの人が、目の大切なことに関心をむけてもらっても良いように考えている一人です。

例えば、子供たちの目の高さは、ちょうど大人の腰や手のあるところなので、人ごみでとげとげのあるハンドバックやとがったつめや、ひどいときには、火ついたタバコによって子どもの目が、傷つけられたことを私は、いくつも知っています。

マユゲやマツゲや涙やまぶたや角膜など何重にも生物学的に目を保護しているにもかかわらず、外部ではひどい無関心と乱暴な危険が、まかり通っているのに不思議な思いを抱いているところです。
(引用おわり)

2019/02/19

コラージュ

今から60年以上前、かこさとしはセツルメント活動で川崎の子どもたちに毎日曜日、紙芝居を見せたり、行事にまつわる催しを楽しませたりしていました。七夕飾りを作ろうとしたところ、ハサミをうまく使えない子どもたちの様子に、これはいけないと早速ハサミを持たせ色紙を丸く切り抜くことをさせました。その紙は、現在の一般的な折紙よりも厚く上等で表面はツルツルして光沢がある綺麗な色で裏は白でした。どこで手にいれたのかはわかりませんが、筆者は幼心にこんなに素敵な紙があることに感動した覚えがあります。

丸い切り抜きのあと、セツルメントの子ども会では、自分の名前を切り抜いてみたり、切り抜いた紙で作品をつくったりということを楽しんでいたようで、今も残っています。当時わら半紙は一枚2円と高価ですから貼り絵の台紙には、セツルメント診療所で使用したレントゲンを入れる黒い紙袋や古雑誌のページを使っていました。またその雑誌を切り抜いてみたりと自由な発想で子どもたちは色々と作っていきました。

コラージュを活用した絵本には『あおいめ くろいめちゃいろのめ』(1972年)『どろぼうがっこう』(1973年、いずれも偕成社)やその続編があげられます。
下は、『あおいめのめりーちゃんおかいもの』(2014年偕成社)の一場面、背景の薄緑色は越前和紙です。

『どろぼうがっこう』の誕生の経緯は、あとがきにありますが、絵本にする時、かこはこのコラージュの手法を背景に盛り込みました。続編のどろぼうがっこうの生徒たちが刑務所できている服はコラージュに更に手を加えた、かこのオリジナル柄です。

お手元に『だるまちゃんととらのこちゃん』(福音館書店)がありましたら見返しをご覧ください。オレンジ色のみのものは旧版で、2018年6月発行の第36刷以降では、前見返しで、とらのこちゃんが、後ろ見返しではだるまちゃんが大暴れ。忍術使いのようにペンキ、はけやバケツが物凄い勢いで乱れ飛ぶような構図。この場面は、2015年、長年見返しに何も描いていなかったことを気にかけていた加古がコラージュで作成しました。動きを表すため、縞模様やドット柄などの白黒の紙を切り抜き、黒の部分が白く、白い部分がこのオレンジ色になるようにしたものです。たくさんのパーツを切っておいて、ピンセットで一つ一つ貼っていました。随分、骨の折れる作業に見えましたが、むしろ楽しそうに仕上げていた姿が印象的でした。

かこが作成したコラージュ作品の代表的なものは農文協の遊びの本にある切手のコラージュによる「モナリザ」です。印刷ではその出来栄えが伝わりにくいのが残念ですが、朗報があります。2019年3月21日から福井県越前市、武生公会堂で始まる(5月12日まで)特別展「加古里子 ~ただ、こどもたちのために~」でこの作品をご覧いただけます。(下はその一部分です。)また、同時に同市ふるさと絵本館では『あおいめ くろいめ ちゃいろのめ』や『あおいめのめりーちゃんおかいもの』の複製原画を展示、コラージュであることがはっきりご覧いただけます。ご期待下さい。

「日曜大工」なんて聞いたことがないという方があるかもしれません。昭和時代の半ばごろまで本棚など小さな家具や犬小屋を素人が余暇に木材をノコギリで切り、釘を打ち付け大工仕事をしたものです。

加古はこの日曜大工が得意でした。戦後間もない頃は絵の額も自分で作ったそうですし、大学の演劇研究会では舞台衣装と装置を担当、設計から製作をしていました。木造平家を建てたこともあるほどですから部屋の四方にぐるりと本棚を吊ることぐらいは朝飯前で、それこそ晴れた日曜日には糸鋸のゴキゴキする音が聞こえてくることがありました。数十年も前のことですから電動の道具はありませんでした。亡くなるまで愛用していたライトテーブルも自作で半世紀以上使っていたことになります。

そんな様子を彷彿とさせるような場面が絵本にも登場しています。『だるまちゃんとだいこくちゃん』(1991年福音館書店)のこの場面。

『からすのてんぷらやさん』(2013年偕成社)では、火事で焼けた天ぷらやさんの再建をからすの兄弟の友だちであるジロくんの仲間がかって出て、お店の再開を後押しします。

大工仕事の道具がずらりと並ぶのは『まさかりどんが さあたいへん』(1996年小峰書店)。ページをめくると次々、まだまだとばかり大工道具がずらり登場して気持ちの良いほどです。

農文協・あそびの大星雲9『のこぎりとんかちのあそび』では数々の遊びに加え、多種多様な専門的な大工道具も紹介(冒頭の写真)。遊びの本ではありますが、あそびの域を超えた専門的な技術も多く紹介されています。下は「ほぞぐみのつくりかた」と「はねきばしの作り方」を紹介するページです。

現在ではDo it yourself からDIYと呼ばれていますが、出来上がるのが何であれ、世界でたった一つのものを手作りするのは、きっと子どもにも大人にも楽しいはずです。木を切るのが大変でしたら紙を切ったり貼ったりコラージュというのは、どうでしょうか。次回はかこさとしのコラージュについてご紹介します。

2019年3月21日午後1時から全国巡回展初回、福井県越前市武生公会堂「特別展 加古里子 ーただこどもたちのためにー」が始まるのを記念し対談が開催されます。

『みずとはなんじゃ?』などの編集にあたった小峰書店編集部・小林美香子さんと加古里子の長女・鈴木万里が思い出を語ります。なるほど、やっぱり、意外な?!お話が、お宝写真とともにくりひろげられます。

日時: 2019年3月21日 午後2時から3時30分
場所:| 越前市中央図書館 学習支援室
演題:「加古先生の思い出」
申込不要、無料です。

おやおや? 雪の中、ここにいるからすたちは、くちばしが水色と象牙色で「パンやさん」の子どもたちではありませんね。名前は「たろう」と「じろう」。まだ子どもでお父さんのように働くには、くちばしが硬くなっていないし遠くまで飛べません。

雨の日、退屈してお父さんのように強くなろうと指相撲をして遊び始めますが、家の中がめちゃめちゃになりお母さんに怒られる始末。片付けてお留守番をしているようにいわれます。お母さんが買い物に出かけてしばらくすると雨がアラレに、そして雪にかわりました。

するとお母さんの言いつけはどこへやら、たろうとじろうは、嬉しくなって大はしゃぎ。お母さんが帰ってきた時には、すっかり雪で真っ白になってお腹は痛いし風邪をひいて。。。

思い当たるような出来事を通して成長する子どもへの著者の暖かな眼差しが感じられるお話です。あとがきをご紹介します。

あとがき かこさとし

(引用はじめ)
子どもは、知らないこと・未経験なものについて、興味を抱き、好奇心をつのらせます。近づいてのぞきこみ、さわってみたり、なめたり、つかんだりします。そうすることで、色々なことを知り、経験し、学び、認識し、考え、成長してゆくのです。

しかし、当然のことながら、時によると知らないために起きる失敗や危険や損傷が、起こることがあります。こうした不安からわが子を守ろうとしたり、手間ひまのかかることから抜けだそうとして、ついには子どもたちから未知のものに立ち向かう機会を奪い、意欲を失わせる「キョーアクムザンな人々」にならないよう念じながら、この作品をかきました。
(引用おわり)

『からすのパンやさん』(1973年偕成社)とは違い、登場するのは、このからすの一家だけという、しっとりしたお話。黒い色をテーマにした作品です。図書館で見つけられたら是非お読み下さい。