編集室より

「かこさとし絵本展in豊岡」2021年7月17日〜9月26日

「コウノトリ舞う豊岡にだるまちゃんたちがやってくる!」
ポスターやチラシにこうあるように、豊岡はコウノトリの保護や繁殖を全国に先駆けて取り組んできましたので、本展示会の注目は『コウノトリのコウちゃん』(2017年小峰書店)の原画全場初公開です。この本は文、絵共にかこが手がけた最後の作品です。また、コウノトリをデザインした手ぬぐいの下絵もご披露致します。下絵の段階で、かこは亡くなってしまいましたが、これを元に手ぬぐいを作ることができました。

豊岡の豊かな自然に通じる『かわ』や『おたまじゃくしの101ちゃん』の伸びやかな絵もお楽しみいただけます。
詳しくは以下をどうぞ。

かこさとし絵本展in豊岡

2021年7月19日、神戸新聞で紹介されました。記事は以下でどうぞ。

神戸新聞

2021年8月1日、日本海新聞で紹介。以下でどうぞ。

日本海新聞

2021年9月4日兵庫県サンテレビ「コウノトリと共生する豊岡を描く 絵本の展覧会」

豊岡 コウノトリのコウちゃん他

2021年9月7日 NHK 兵庫県のニュース「かこさとしさん展覧会コウノトリ絵本の原画など展示」

NHKニュース 

2021年7月23日 東京新聞(千葉版)でも紹介

市川市文学ミュージアム「かこさとし展 ーこどもは みらいにいきるひとー」2021年7月17日〜9月20日

ポスターやチラシにもあるように、市川市を走る小湊鉄道を舞台にした『出発進行!里山トロッコ列車』(2016年偕成社)の原画に注目です。
もちろん、「だるまちゃん」シリーズ(福音館書店)、『からすのパンやさん』(偕成社)やその続きのお話をはじめ、かこにとって大変思い出深い『わっしょいわしょいぶんぶんぶん』(1973年偕成社)からは展示会では初めてご覧いただく場面、それに『まさかりどんがさあたいへん』(小峰書店)もあるのですから、さあたいへんです!

まだまだあります。2019年の復刊以来、この本の虜になる人が急増している『サン・サン・サンタひみつきち』(白泉社)の全場面展示。これも初めてですから必見です。今からサンタ?と思われた方、今からすでにサンタはクリスマスに向けて一生懸命なんです。その秘密基地の様子を是非、じっくりご覧ください。
以下のMOEニュースでもご紹介しています。

市川市文学ミュージアム かこさとし展

市川市からの情報は以下です。

市川市文学ミュージアム

こちらもどうぞ。

市川市文学ミュージアム グッズ情報

2021年8月11日毎日新聞(千葉)でご紹介。以下でどうぞ。

毎日新聞 市川市文学ミュージアム

2021年8月24日 読売新聞(東京) かこさとし 市川で企画展

市川市文学ミュージアムで開催中の「かこさとし展 ーこどもはみらいにいきるひとー」を紹介、9月20日まで。

2021年9月9日 東京新聞 TOKYO Web みんなで絵本にワクワク 市川で「かこさとし展」 「小湊鉄道沿線の旅」原画など紹介

東京新聞

全国巡回・福井  

福井ふるさと文学館2021年7月16日〜9月20日

全国巡回展、2021年夏は福井県ふるさと文学館(福井市)で7月16日から9月20日まで開催されます。
副題の通り、だるまちゃんもからすのパンやさんも大集合。本巡回展では、原画も多く飾られますのでも楽しみ倍増です。毎回各地で好評のご当地コーナーでは、なんと、あの、くまさか校長先生が、生徒と共に原画で登場します! しかも、もしかしたらご覧になったことがない場面、初公開です。

2021年5月に文春文庫として刊行された『だるまちゃんの思い出 遊びの四季』は、かこが7歳まで過ごした福井県での幼き日々を回想し、子どもにとって大切なものは何なのかを問うエッセイスト賞受賞作品です。その手書き原稿も初展示します。勢いのある筆致をどうぞ間近でご覧ください。

福井ふるさと文学館 かこさとしの世界展

福井チラシ

はぐくむネット

2021年8月11日北陸・信越観光ナビやYahoo!ニュースでも見どころを詳細に紹介しています。以下でどうぞ。

北陸・信越ナビ

福井 ふるさと文学館

同じく2021年8月11日福井新聞でも写真とともにたっぷりご紹介されました。

福井新聞D刊

2021年8月30日「かこさとしの世界」堪能絵本原画、自筆原稿など155点 来月20日まで

毎日新聞 福井

2021年9月11日 日々URALA(ウララ)福井県のおすすめ情報

『ふるさと文学館』で「かこさとしの世界展」。故郷・武生に絵本の原点。

ウララ

おしゃれの定義は千差万別ですが、おしゃれが物語の要素になっているお話があります。

『からたちばやしのてんとうむし』(1974年偕成社)では、「からたちごてん」に、すんでいる「てんとだいじん」の所に、祭りの日、虫たちが揃いのはっぴでご挨拶にやってきます。といっても皆が着ているのは、紙で作ったワッペンを貼った急こしらえのはっぴです。

一方、きれいな着物や服が大好きな「だいじん」は、「あっちのふくを きたり こっちのきものにかえたり おおさわぎ」で、スタイルブックを眺めて服選びをしています。

個性的なおしゃれと言えば、かこ作品のキャラクターのなかでは、この人にまさる人はいないかもしれません。『どろぼうがっこう』(1973年偕成社)の「よにも なだかい くまさかんとらえもん せんせい。」です。世にも名高いというのは、謡曲や歌舞伎で出てくる想像上の大泥棒、熊坂長範をモデルにしているからです。

この髪型、歌舞伎役者さながらの出立ちで、教壇に立っています。

さて、その翌日はといえば、これまたド派手な羽織、金時計に合わせたかのような着物の色合いに茶系を基調にした小物使い。注目はその羽織が五つ紋で、なんとその紋がクマ! いやはや、これには、びっくり。参りました!

このクマサカ先生に会えるのが、現在藤沢市民ギャラリー開催中の「夏!かこさとし絵本展」と同じフロアの別室(常設展示室)で同時開催の「ドロボー浮世絵大集合」。これをご覧になるとクマサカ先生のおしゃれのセンスに納得いただけることでしょう。いずれも無料です。お楽しみください。

パラリンピックが始まりますが、その中にある競技、シッティングバレーボールは、1956年に戦争で負傷した人によって考案された歴史があり、日本でチームができたのは1992年だそうです。

かこは「おすわりバレー」という名前でこれを「バレーボールごっこ」遊びとして1990年出版の『こどもの大宇宙1おにごっこ じんとりのあそび』(農文協・下)で紹介しています。家の中のような広さが限られた室内でこどもたちが遊ぶためのもので、ボールではなく「かみふうせんやビニールぶくろに くうきを いれ、ふくらまして」ボールとすると解説があります。

この本の表紙を飾るピクトグラムのような紙粘土の立体人形はかこの手作りです。
この本を執筆した時には、まだまだパラリンピックやその競技は今のように知られていませんでした。

1988年のパラリンピックから、正式種目に採用されたボッチャは、ヨーロッパが発祥とされているそうですが、『あそびの大惑星8 あんただれさ どこさのあそび』(1992年農文協)では、世界のボールあそびの一つとして、ボッチャー(ドイツ)を紹介しています。かこさとし、先見の明があったのでしょうか。うーん、まいりました!

前回の「あとがきから」でご紹介した『金色のエネルギー』の「金烏玉兎」ではありませんが、小学生時代、四字熟語というのを習ったとき「五里霧中」とか「朝令暮改」とか、一応の意味はわかっても、(一体そんなことがあるのかなぁ)というのが正直な感想でした。

「滅茶苦茶」というのも四字熟語に入っていると知ったのはつい先ごろのことです。「めちゃ」というのは強めるための言葉、英語で言えばvery とかmuch にあたるわけですが、関東地方で育った筆者が半世紀も前の子供の頃には使った覚えはありませんし、かこが話し言葉の中で使っていたのを聞いたことはありません。

しかしながら、絵本の本文にこの言葉が登場しています。『うみはおおきい うみはすごい』(2005年農文教)で、波の説明をする場面、風によって波が起こり、どんどん大きくなって船を沈めるほどの大波になると、本文は次のように続きます。

「うみは めちゃ おおきくて めちゃ すごい ところである。」

絵の説明には「ものすごく つよい かぜで ふきとばされる なみ」とあります。この本は「かこさとしの自然のしくみ地球のちからえほん」シリーズの3で、小さいお子さんに、自然のことをわかってもらおうという意図で作られ、本格的な内容ですが、全部ひらがなで書かれています。

この本が書かれた時には、この「めちゃ」という言葉はメディアを通じ全国的に使われるようになっていましたし、おこさんたちに伝わりやすい表現と思って登場させているのでしょう。かこの語感に、めっちゃ、まいりました!

ところで、ここにご紹介した絵が8月7日から藤沢市民ギャラリーで始まる「夏!かこさとし作品展」で展示されます。(会期は8月29日まで、入場無料。詳しくは近日中にご紹介します) 湘南の海が感じられる絵や元気いっぱいに身体を動かすキャラクターたちの姿、貴重な初公開の原画も数々ご覧いただけます。どうぞお楽しみに。

(引用はじめ)
「三本足のカラス」って何か知ってるかい?
「三本足のカラスのマーク」といったほうが、いいかもしれない。(中略)それは、日本しゅう球協会のマークなんだ。どうだい、あたったかい?下の図が協会のマークでテレビなどで時ときどき旗が移ることがあるから、気をつけてみるといいだろう。サッカー(しゅう球)は足でボールをけったり、ころがしたりするスポーツだから、3本も足のあるカラスが、マークとしてつかわれているというわけなんだ。
(引用おわり)
こんな書き出しで始まるこの本は、今から50年以上前に出版されたもので、いくらサッカー好きとはいえ、エネルギーの話をするのになぜカラスから始まるのでしょうか。

サッカーの試合で監督の先生に「もっとエネルギーを出せ!」と言われたことから、エネルギーとは何か、どんな形があるのか、形が変わってもエネルギーは無くならないこと、地球上のエネルギーのもとは太陽であることを、順を追って例をあげながら説明していく科学絵本で小学5年生の副教材として書かれたものなのです。

さて冒頭の答えですが、「金烏、玉兎」(きんうぎょくと)、つまり「 金色にかがやく烏ーーすなわち太陽と、玉のような兎ーーすなわち月」という表現から、太陽エネルギーについての連想だったというわけです。

それでは、あとがきをどうぞ。

あとがき

(引用はじめ)
子供たちは、もう4年生ぐらいになると、その子の好きなことにかけては、大人はもちろん、普通の専門家顔負けの水準に達します。例えて言うと、カブトムシの飼い方とか、電気機関車の制作だとか、魚の切手の収集とか、無線機通信の組み立てだとかーーです。それらはほとんど学校で教わったものではありません。親にやりなさいと勧められたものどころか、逆に、家事に隠れて調べたり、工夫をしたり、考えたりして、そんな水準に達したものが多いのが実情です。

教師や親を飛び越すこの力は、その子供が面白いと思い、興味に惹かれるままに行動し、考えてきた結果に他なりません。「おもしろい」「興味を持つ」ーーこのことがもつ、素晴らしいエネルギーを、ぜひ教育に活用していただきたいと念じております。
加古里子
(引用おわり)

左上は、1972年発行のハードカバー、右上が1970年の初版。絵はかこではありません。
尚、蹴球協会のマークについては、日本蹴球協会から提供と巻末に記されています。

2021年6月25日より、越前市ふるさと絵本館では夏のテーマ「太陽」にちなんだ展示を2021年8月30日までしています。

6月23日は沖縄・慰霊の日です。「モナ・リザ」で始まり「ゲルニカ」の紹介で終わる『美しい絵』(1974年偕成社)は、かこが自ら出版社に持ち込んで出版をお願いした経緯を持つ唯一の絵本で、2021年6月18日、ダ・ヴィンチニュースではこの本を紹介している『科学絵本の世界100』(2021年平凡社)を取り上げています。

『美しい絵』でかこはゲルニカの説明を次のように記しています。

(引用はじめ)
はげしい いかりや、
かわいそうな ひとを すくいたいという
いのるような 心を、
あらあらしい せんと、
かわった かたちと、
はいいろだけの 絵に こめたのです。
(引用おわり)
(尚、漢字にはふりがながあります。)

ピカソのように描くことはできなくても、絵に込められた思いを、絵を描いた人の心をくみとりたいと思います。

下は、『美しい絵』の裏表紙。若い頃のかこらしき人が嬉しそうにゴッホの絵を見ています。

この本の紹介があるのは、以下です。

美しい絵

かこさとしさんの原点凝縮 エッセー集文庫化

福井県越前市での野山遊びつづる

文春文庫として2021年5月に刊行された『だるまちゃんの思い出 遊びの四季』についての記事が、掲載されました。以下でご覧ください。

福井新聞 だるまちゃんの思い出

また6月19日には、愛媛新聞、秋田魁新報、沖縄タイムズでも書評が掲載されました。

教文館ナルニア国

東京・銀座にある子どもの本の専門店「教文館ナルニア国」さんによる本書の紹介は以下でお読みいただけます。

教文館 だるまちゃんの思い出 遊びの四季

私たちが知っている元素記号の周期率表はロシアの化学者メンデレーエフが作ったものが元で2019年には150周年が祝われました。

『なかよし いじわる元素の学校』(1982年偕成社)によると、メンデレーフ(1834年〜1907年・下)は「14兄弟の、勉強ぎらいの末っ子。母の死をきっかけに勉学に励み、1865年ペテルスブルク大学教授となった。当時、帝政ロシアが禁じていた女子の講義の出席をゆるすなど、進んだ考えの持ち主でした。」

このメンデレーエフとほぼ同時代、ドイツのマイヤー(1814年〜1878年)は、元素の大きさ(原子容)と重さ(原子量)を比べ表にしてみて「つぎつぎおしよせる波のように、上がり下がりしながら、そのはばが、しだいに大きくなっていること」、つまり「周期をもっていることにきづいた」と同著にあります。

マイヤーの肖像とその「山また山、大波小波のくりかえし」の様子を1869年及び1884年にマイヤーが発表した論文に基づいて加古が作成した図(下)が描かれています。

「とんがった山のところは、軽い金属の元素、谷のところは重い金属の元素、山の登るところは、液体や気体になりやすい元素があり、とけにくい元素や液体になりにくいものは、山からおりるところにある」ということがわかったのです。

そしてそれを印象づけるために、なんと、かこは北斎の富嶽三十六景と広重の東海道五十三次の浮世絵を模写で登場させています。なぜ、この二人なのかといえば、それはこの二人がマイヤーと同時代に生きていたからなのです。

日本人なら一度は目にしたことのあるこの2枚の浮世絵を周期表と組み合わせることにより、マイヤーとその功績がより身近なものに感じられ記憶に残ると言うわけです。いやはや、これは、まいった!