編集室より

2021年9月17日静岡新聞 紹介

投稿日時 2021/10/08

『ねんねしたおばあちゃん』(2005年ポプラ社)

小さな子どもは、だれが世話するのか。コロナ禍にあって、保育園が休園になってしまったり、家庭の中で感染がおきてしまったり、保育に関しても今までとは違う状況が出現しました。

この本が最初に出版されたのは1980(昭和55)年で、周囲の人々との間でおこる子どもの心の動きをとり上げた、当時としてもユニークな「こころのほん」シリーズの第2巻にあたります。

生まれたばかりのタミエちゃんの世話をするおばあちゃんの物語で、成長して活発になっタミエちゃんは、おばあちゃんのてをふりきって遊びに出かけようと家を飛び出した途端に交通事故に合います。おばあちゃんの応急処置の甲斐もあって、タミエちゃんの命に別状はなく、足の怪我の入院から戻ってきたある日、突然おばあちゃんが倒れてしまいます。

「保育のあり方が多様になった今なお、私たちに強く訴えかける」と静岡新聞書評欄で紹介されました。

遠足

投稿日時 2021/10/03

コロナ禍で普段の授業もままならない中、運動会や遠足が中止されてお子さんたちの学校生活が制限されていることが気がかりです。

かこさとしが幼稚園に入ってすぐのことですから今から90年も前のこと、遠足で歩いてむかったのは隣町の鯖江の練兵場でした。空砲とはいえ、射撃の訓練を目の前で見てその音の大きさに驚いたと『だるまちゃんの思い出 遊びの四季』(2021年文春文庫)にあります。

遠足が題名に入っている『あかいありのぼうけんえんそく』(2014年偕成社)は、『あかいありとくろいあり』(1973年偕成社)の続編。といっても40年ぶりの続きのお話で、あかあり小学校の1年生から6年生までみんな一緒に「ぼたもちやま」に遠足に出かけます。PTAも参加して道具や荷物を準備、万一に備えます。途中、あかありを狙う危険な生き物に遭遇しますが万端の準備が功をそうして、無事に楽しい遠足が終わります。

無事に終わらなかった遠足といえば、そう! あの遠足、『どろぼうがっこう』(1973年偕成社)です。とっぷり日が暮れて、どろぼうがっこうの生徒たちは「たのしい えんそくに でかけました。」そんな場面が夜になって実際に現れる場所があるのです。

2021年9月25日にお披露目された越前市武生中央公園に新たにできた「まさかりどんの館」。館というのですから、それはそれは大きな建物で、その壁面に夜になると出現する怪しい人影。是非、闇にまぎれて忍び足で現場をご確認ください。

以下は現場の状況です。。。

まさかりどんの館に現れるのは

『あきのほし』

投稿日時 2021/09/20

秋はお月見があって夜空を見上げる機会がふえますが、星を見るには月のない晴れた夜が最適です。美しいアンドロメダ星雲の表紙のこの本は、前扉には秋の星図、本文では月の写真、カシオペア座の見つけ方、アンドロメダ座やペルセウス座にまつわる物語もあります。
あとがきをどうぞ。

(引用はじめ)
わたしは中学生のころ、ねっしんに星の位置や名まえをおぼえりょうとしましts。それは、いずれもうすこし年上になったら、みんなせんそうにいくので、そのときにこまらないためでした。富士山麓で夜、軍事教練がおこなわれ、斥候(せっこう)にでたわたしがみちにまよわなかったのでは、カシオペアのおかげだったことをおぼえています。

みなさんは、そんなことのためではなく、もっとたのしい、もっとおおきい、もっとうつくしいものを知ったり、さぐったり、きわめるために、星を眺めたらり、星をしらべたりしていただきたいと、すてきな写真をとってくださった藤井旭(あきら)さんといっしょに、ねがっています。
(引用おわり)
漢字には全てふりがながあります。

『新版 科学者の目』(2019年童心社)

41人の業績、葛藤 簡潔に

静岡新聞のこどもかがく新聞は、科学に関する情報が満載です。[かがく図書館]コーナーで紹介されたこの本は、古今東西の科学者たち41人の科学者としての着眼点や研究方法、生き方などをわかりやすく深く解説する伝記です。物事をどう捉え、考えれば良いのか、あるいは生き方について考える時、この先人たちの歩んだ道は、こどもにも大人にとっても示唆に富んだものと言えるでしょう。

2021年10月3日まで東京都町田市民文学館ことばらんどで開催の「つながる・つながれ!のりものえほん展示」で、『地下鉄のできるまで』(1987年福音館書店)の表紙を含め5枚の複製画が初披露されています。
乗り物好きの皆様だけでなく、季節の変化やそれにともなう人々の暮らしも描きこまれ、機械以外のところにも見所があります。
この展示会には鈴木まもるさんの「ピン・ポン・バス』の絵など船や新幹線など乗り物がたくさんです。
10月3日まで、「お乗りの方はお急ぎくださ〜い。」

かこさとしは晩年、肩書を「絵本作家」でよろしいですかと聞かれると、作家というのは夏目漱石や芥川龍之介のような才能ある人たちのことで、自分はとてもそんな存在ではく「児童問題研究」をする者と言っておりました。

『だるまちゃんの思い出 遊びの四季』(2021年文春文庫)は、久留島武彦文化賞と日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した『遊びの四季』(1975年じゃこめてい出版)を底本に、加古によるカラーの挿絵や写真、エッセイや解説を加えたものです。もともと挿絵がほぼ各ページにあり、優しい独特の独特のタッチが内容を一層わかりやすいものにしています。

書評を書いた松永裕衣子氏は、その受賞時のかこの肩書きは「子どものあそび研究家」であることを紹介しながら「ページを開けば、当時の子どもらの元気な姿が目に浮かび、読めば読むほど味わい深く、心にしみるエッセイ集である。」とし、かこが伝えたかったのは、ただの郷愁ではなく遊びの中で身につけ、心に刻んだものであると本書の意義を読み解いています。

お子さんたちが思い切り外遊びをするのが難しい状態が続いています。本来ならば、さわやかな秋空の下で大いに身体を動かして遊んでほしいのですが。。。

せめて絵本の中で、みんなで楽しく遊んでいる姿をご覧ください。『ことばのべんきょう1 くまちゃんのいちにち』では2場面にわたって《そとのあそび》が描かれています。

公園での滑り台や砂遊びブランコ、ジャングルジム。かくれんぼ、缶けりだって怒られません。ベンチにはお年寄りや赤ちゃんをつれたお母さんに乳母車の子どもがいます。ゴムとびやおしくらまんじゅう、ことろことろには昭和の面影があります。それもそのはずこの本が出版されたのは1970(昭和45)年です。半世紀以上経ているわけですから、レトロなものも登場しますが、それが若いお父さんやお母さんには、知らないことがわかると好評の本です。

この本では《へやのなかの あそび》も2場面も描かれています。

《そとのあそび》2場面の絵を藤沢市役所本庁舎の1階ホールで展示しています。お近くにお出かけの際は、是非ご覧ください。

こども達が大好きななぞなぞ。そしてダジャレは、色々あるけれどこんなクイズが『遊びの大星雲1 ひみつのなぞときあそび』(1992年農文協)の冒頭にあります。


【さるくんが かぎを もっています。 いったい どこの かぎでしょうか。】

次のページに以下のように答えがあります。

【かぎの ことを えいごで キー、さるの ことはモンキーと いいます。それで さるの もっているのは、 モン(門)のかぎ(キー)となります。】


この本の副題は「生活機器の内部の秘密」で、かぎの秘密をどろぼう学校のかわいい生徒たちがクマサカ先生に習っている絵が添えられているではありませんか。

しかも先生は『どろぼうがっこう』(1973年 偕成社)の表紙に描かれている、かきがね錠の鍵と錠前を手に黒板には英語も教える充実した授業風景!? さすが、クマサカ先生の授業は、実践的でためになります。そして、かこによるかきがね錠の秘密の図解も必見です。

それにしても、このダジャレxなぞなぞxクマサカ先生のコラボ、まいりました!

実は、この絵を原画でご覧いただけます。場所は福井県ふるさと文学館、9月20日まで開催の全国巡回展の会場です。(入場無料) 是非、忍び足で、お出かけください。

「かこさとし絵本展in豊岡」2021年7月17日〜9月26日

「コウノトリ舞う豊岡にだるまちゃんたちがやってくる!」
ポスターやチラシにこうあるように、豊岡はコウノトリの保護や繁殖を全国に先駆けて取り組んできましたので、本展示会の注目は『コウノトリのコウちゃん』(2017年小峰書店)の原画全場初公開です。この本は文、絵共にかこが手がけた最後の作品です。また、コウノトリをデザインした手ぬぐいの下絵もご披露致します。下絵の段階で、かこは亡くなってしまいましたが、これを元に手ぬぐいを作ることができました。

豊岡の豊かな自然に通じる『かわ』や『おたまじゃくしの101ちゃん』の伸びやかな絵もお楽しみいただけます。
詳しくは以下をどうぞ。

かこさとし絵本展in豊岡

2021年7月19日、神戸新聞で紹介されました。記事は以下でどうぞ。

神戸新聞

2021年8月1日、日本海新聞で紹介。以下でどうぞ。

日本海新聞

2021年9月4日兵庫県サンテレビ「コウノトリと共生する豊岡を描く 絵本の展覧会」

豊岡 コウノトリのコウちゃん他

2021年9月7日 NHK 兵庫県のニュース「かこさとしさん展覧会コウノトリ絵本の原画など展示」

NHKニュース